かつての就活勝ち組(4)生保
2022年02月15日
生命保険やら医療保険など、さまざまな形でお世話になっている生命保険業界。
保険のおばちゃん(失礼)が職場に来て若者に勧誘する・・・ようなイメージがあるかもしれませんが、おばちゃんたちは個人事業主で、生命保険会社に就職する・・・というのとはちょっと違います。
大卒で生保に就職すると、もちろん個人で生命保険を売るという仕事もなきしにもあらずですが、まずは全国各地にある支店の管理監督業務がメインになります。保険のおばちゃんを束ねる支店長みたいな感じですね。
若いうちは自分のお母さんやおばあちゃん(しかも百戦錬磨)を相手にご機嫌を取りながらうまくやっていくみたいな仕事なので、そこをうまく乗り越えるのが最初の壁かもしれません。そこでマジギレしたり嫌になったりしたら生保ではやっていけないでしょう。
さらにランクを上げていくと、○○エリア長とか○○ブロック長みたいな感じで責任をもつエリアが大きくなり、各支店長を束ねる立場となっていったりします。
さて、生保は生命保険を売ることばかりやっているわけではありません。集めた保険料を他で運用して利益を上げることがもう一つの大きな柱です。生命保険(に限らず保険はそもそも)は支払が発生しますので、将来の支払に備えつつ、一方で集めた巨大なお金を運用して増やしていくわけです。そこに金融機関としての役割があります。
損保も生保もそうですが、契約者から莫大な金を集めます。その集めた金を運用するわけですが、例えば生保業界最大手の日本生命の運用を見ても分かるとおり、大半が株式や債券など、市場で運用されています(こういう投資家を「機関投資家」と言います)。損保も同じような状況です。あと生保の場合は「不動産運用」というのもありますが、駅前に「○○生命ビル」みたいなのがたくさんあるのはこれのことです。テナント収入ですね。最近は地価が下がっているのでちょっとアレですが。
業界最大手は日生です。いまだ1強といってもいいのではないでしょうか。2番手グループを明治安田や第一などがもつれながら走っている感じです。まだまだこの先大きな合併劇があるのではと予想します。
ちなみに、昔は生命保険会社は生命保険を、損害保険会社は損害保険を売るきまりでしたが、法律が変わって現在はそれぞれ子会社を作って相乗りしています。つまり、
○○グループHD-損害保険会社-生保子会社
▲▲HD-生命保険会社-損保子会社
といった具合に、お互いに子会社でかつての他業態の商品も積極的に売っています。従って、大きく見れば生保・損保と区分けする必要性がなくなりつつあります。
そもそも生保・損保を分けなければいけなかったのは、それぞれに扱う商品があまりにも違う(生保は寿命を、損保は事故を扱う、など)ためだったのですが、近年ではさまざまなリスクに対して高度な金融技術で対応するように各社進歩していますので、今後はどんどん垣根が取り払われていく可能性が高いと思います。
また、小泉政権あたりのころに規制緩和されて外資系保険会社がたくさん日本にも入ってきました。窓販やらネット販売などなど含めると「こんなにあるのか」というくらい保険会社があるのが現状です。
全国各地を転々とすることも多いですし、一生転々とし続けることもあるのですが(ここら辺はどこの金融機関でも同じですね)、生保の津々浦々具合はとびきりですね。「こんな町まで!」と言った具合で支店があったりします。あまりにも転勤が多すぎ、しかも激務すぎて「エリア総合職」のような、エリアを限った採用の仕方を始めたのも生保業界が最初だったような気がします(違ったらすみません)。ちなみにエリア採用だと出世に限度があったり、昇給が弱かったりの条件が多かれ少なかれあるのが普通です。まぁそれでも悪い給料ではありませんので、人の3倍働いて1.5倍の給料をもらう感じは金融業界らしいところですね。
日生あたりで順調に出世すると、30代課長級で1000万円は軽く超えるそうです。いいですね。とはいえ、上位数社レベルになるとある程度の大学を卒業していないとまともに受けさせてももらえないと思います。旧帝大以上くらいが目安になると思います。それ未満の大学でもいけないことはないかもしれないですが、超絶体育会系の営業力を求められているとか何カ国語もしゃべれる語学力があるとか、何かウリが必要になると思います。