スペシャリストとゼネラリスト
2022年12月18日
久々の就活の話ですが、ちょっと角度を変えて「スペシャリスト」と「ゼネラリスト」について考えて見ます。
specialistとgeneralist、専門職と総合職・・・という日本語が近いでしょうか。
親世代のみなさんは「スペシャリストになれ」と言われていました。簡単に言えば「手に職を」と言うことなんですが、何かの分野に特化して「この人じゃないとこれは出来ない」という仕事がいいとされた世代です。
今も決して間違っていませんが…仕事という意味では、専門職というのは単になにかに詳しいわけではなく、資格が必要な仕事と思っていただいた方がいいと思います。
弁護士や会計士、医師などは法律で決まっていて、「この資格がないとこれが出来ない」というのがはっきりしているわけです。
ところが、この専門職、そこから何十年か経って大きく様相が変わってきました。
資格を持っていれば自動的に食えるわけではなく、例えば弁護士の世界でも「過払い金訴訟ブーム」みたいに、とにかくお金に対する嗅覚が鋭い人とそうでない人の収入は全然違ってきています。
じゃあ専門職はダメなのかというとそうではありません。例えば、「会計士かつ公務員」とか、「大企業のサラリーマンでありながら弁護士」とか、そういった立場の人はボロ儲けするわけではないですが安定+高収入を得られます。もちろんこれらは極端な例ですが、そういった目立った資格以外にも「この資格で公務員なの?」とか「この資格で民間企業なの?」ということは結構あるものです。
上記の例は文系専門職ですが、理系ならなおさら言うまでもありません。専門の技術者・専門家でありながら、安定した仕事に就くことは十分に可能です。
さて、大半の文系人や理系の資格系ではない人はどんな道を目指すのかというと、ゼネラリストです。
総合職といえばわかり易いですが、組織全体を見て専門家同士をつなげたり、専門家をうまく使っていく仕事だと思います。
そのためには、専門家としての力までは必要ありませんが、ある程度広く多彩な知識が必要になってきます。人脈も必要です。どこにどんな需要があるかを嗅ぎ取る力が必要でしょうし、もっと言えば需要に気づかせてあげる力も必要になります。古い表現をすれば、セールスマンの『ニーズを掘り起こせ!』ってやつですが、今で言えばマネタイズ=どうやってお金にするか=どんなお金を払いたいサービスを生み出すか、と言うことでもあります。
こういうことって意外に専門家だから気づかないってパターンがあるんですよね。全体を俯瞰する能力があるとか、他業態を知っているとか、色んな業界と繋がりがあるとか、色んな人とのつきあいがあるとか、そう言うところから生み出されたりするわけです。
これが結構思ったよりクリエイティブで楽しい仕事だったりします。
例えば銀行だと、
A社のニーズを掘り起こす←B社を紹介する
これで終わらせたら1円にもなりませんので、
A社のニーズを掘り起こす ← B社を紹介する
↓ ↑
資金需要が発生、融資する 工場を作るための融資をする
↑
工場用地のための不動産業者を紹介、融資をする
・・・などのように、自分の取引先のなかでうまく図式を描いて各社に提案するわけです。全部自分の担当取引先でやれたときは楽しいですね。
そのためには、それぞれの会社がなにをやっているか、どんなことが出来るのか、融資できる規模なのか、場合によっては別の支店担当を紹介するとか、色々な事に思いを巡らせて仕事をするわけです。当然生半可な知識ではダメです。それぞれの会社さんは「その道のプロ」なわけですから、適当な提案をしても「あー無理無理」で終わってしまいます。もちろん大企業になれば、こうした事を社内で調整するような必要性が出てきたりすることでしょう。ここにこそ、ゼネラリストの必要性があるわけです。
自分はどちらが向いているのか、考えてみるのもいいかなって思います。