「ひろゆきっず」現象
2024年01月15日
「それってあなたの感想ですよね?」
と言うガキお子さんが増えているそうです。
相手が言ったことに対して「それって単なるあなたの感想であって議論するべき内容ではないですよね?あるならデータなり論文なり出してください。出せないなら単なる感想なんで相手にする気はありません。」
と会話を切り捨てる現象のことです。
当のひろゆきさんは、「実際それ言ったの1回だけなんですけどね」とかなんとかおっしゃってるようですが、それはおいといて。
もし言われた場合の切り返しを最初に置いときます。
①感想だから同じく感想を言って。私はあなたの感想を聞きたい。
②感想ですが自信をもっています。違うと言うなら論理的に否定してください。出来ないなら感想レベルでもあなたの負けです。
③この論文とデータ(なんでも適当なものでいい)を出すから検証、精査してください。出した以上、同等レベルの論文やデータを出して反論してください。
④うるせえ宿題やってから言え。
等々、まぁ相手にするならいくらでもやれるんですが、今回はそれは置いときます。
個人的にこの現象について興味があるので考えてみました。駄文なので興味のある方のみご覧いただければ。
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この「論破!」「感想ですよね!?」「データとか論文は?」という現象なんですが、学校教育での「アクティブラーニング」と無縁ではないと思っています。
アクティブラーニングとは、簡単に言えば「自ら考えて自ら解決法を探す学び」みたいなことで、さらに進歩するとそれをまとめて発表するみたいな学習スタイルです。我々親世代になかった考え方です。
現代の子どもたちは、日頃学校でこうした学習方法自体に慣れています。すなわち、
・自ら考え、推論すること
・考えたことを調べて確かめること
・考えをまとめて発表すること
これらが珍しいことではないのです。と、言うことは。
・考え、推論しただけでは正しいとは言えないことを知っている
・調べ、確かめるための手段が世の中に存在するし、その方法論も知っている
・結果をまとめ、発表し、相手に納得してもらうことの大切さを知っている
ということでもあると思います。結果、
・何のデータも根拠もなく意見を言っているだけなのか、またはきちんとした根拠があるのかを判定する目も持っている
加えて、
・自分や相手を納得させるには何が必要か
・その「必要なもの」を探すことの大変さ
・相手を納得させるための表現の重要性
を分かっているいうことです。本来悪いことじゃないんですよね。
分かっているからこそ「あなたの感想ですよね?」と言うわけです。
この思考回路の下敷きとなっているのは「データや論文を精査してまとめ、相手を納得させる発表をするのは大変である」と言う実体験があると思います。
大変であることが分かっているから、相手を黙らせるためには「(出来る分けないだろうが)データや論文を出せ」というわけです。
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でもやはり、この論法には大きな過ちがあります。
・そもそも対話は勝ち負けではない。
・であるなら、対話はTVショーや学会でもない限りそもそもデータを必ずしも必要とはしない。
・データを用意しなければ納得出来ないのは相手の意図をくみ取るだけの語彙力がないのはきっずの方である。
・データや論文があったとして、そもそもそんな物にどの程度の価値があるのかは素人には分からない。論文は文字通り単なる「論を述べた文」に過ぎず、そこで使われているデータ、およびその解釈が何らかの意図を持っている可能性は排除出来ない。つまり、論文作者の都合のいいことしか書かれていない可能性がある。最低限専門家集団の中での共通理解が得られていない考え方はあくまでも「そういう論文もある」というだけで、正当性を保証する物ではない。(インチキ論文やクソ学会誌が世界中にはごまんとあります。)
・仮にデータや論文を出されても理解出来る能力がきっずにない笑
本来なら、「僕はこう思うけどキミはどう思う?そう、それなら一緒に調べてかんがえてみよう」となるべきで、それがアクティブラーニングの重要な一側面なわけですから、そういう対話が出来るようになった方がいいんですよね。
これが私の感想です。キミはどう思う?