来年度の教科書改訂
2024年10月15日
来年度から中学校の教科書が変わります。4年ごと変わるんですが、今回は学習指導要領が変わるわけではないので「小改訂」ってところです。
で、新教科書の一部が出てきているんですが、今よりもっとやばめです。
いまでも、英語のLesson1-1からbe動詞・一般動詞・canが混在しているのですが、そこにさらに「小学校でもうやったよね?もちろん読み書き出来るよね?」感が増しています。
この手の話になると英語が悪目立ちするんですが、それ以外の科目もなかなかです。
例えば現在の中1数学、一次方程式の最後の応用問題のページです。
距離速さ、時間(何時間何分って難しいですよね)、割合・・・と。
ここに至るまでに「一次方程式の利用」単元(応用の単元)に割いているページ数はたったの6Pです。「式を作ってみよう!」という初手から6Pで↑の問題です。
聞けば、ほとんどの学校がまともに取り扱っていません。本来なら1問に1時間かかるくらいです。要するに飛ばしちゃってるわけですね。
そんなおっそろしいこと、とてもじゃないけど塾ではできないので、方程式めちゃめちゃ時間使います。といっても学校もドンドン先に進むので、「方程式の応用をコツコツ進めながら、次の単元もやる」って感じです。「さらっと終わって忘れちゃった、テヘヘ」で済まないんで。方程式は。
話を英語に戻しますと、「小学校でやったはずですよね」の体で中学校の教科書が作られているんですが、当然そんなことはありません。過去に何度もこのブログには描きましたが、英検4級(中2レベル)持ってる小学生でもアルファベットを全て書けない子がたくさんいます。三単現のsも知らない子がたくさんいます。英会話教室などに通っているお子さんもご注意ください。rとlが聞き分けられても関係ありません。中学校は書きのテストがあります。
心配になった方・・・「彼はサッカーが好きです」「彼女は私の本を持っています」を英語で書かせてみてください。どちらも中1です。
正解は
He likes soccer.
She has my book.
ですが、かなりの確率で
He is like soccer.
He soccer like.
She have a I book.
She have book my.
が出てきます。というか、多分そもそもsoccerとかlikeの綴りが書けないと思います。なんならbookも怪しい。そして「私は」と「私の」の違いが分かっていません。
小学校の英語や英会話を批難しているわけではありません。「別物」だと言うことです。
そこでさらに冒頭の話ですが、中学校の英語の教科書は昔のように体系的に文法を習うようにできていません。
文科省の方針としては、ざっくり言えば「日本の多くの人がなんとなく会話っぽいことができるようにする」ということです。実は僕はこれ自体は賛成派なんですが(平均値が上がることは大切ですし国際化もしなきゃなんないですし)、大学入試は別です。このまま行って中学校で点が取れても高校に入ったら5文型からスタートするガッツリ英文法の世界が待っています。相変わらず単語・例文暗記はしっかりあります。
「大学入試で国立行きたかったら中学校のうちからしっかりやっておいてね。あ、それには小学校からある程度読み書きできないとダメですよ。ちなみに中学校の教科書はそのつもりで作ってませんよ」ってことです。
中学校に入ってから「しまった」では手遅れです。塾だからそういうよね、じゃなくて、ホントにそうなんです。これはもう何年も前からこの状況です。それ以上に今本当に困ったなと思っているのは、中学校で「しまった」と思える機会がほぼないことです。中3で平均350点とか370点とか、すごく簡単な問題で「できている気になってしまっている」ことがとても恐ろしいことだと思っています。
大変なのは分かってるんですが、開智塾が小学生のうちから暗記の練習を少しずつ積み上げていったり、書いて覚えることを大切にしているのはそのためです。「小学校のうちはまだいいか、なんかみんなのびのび好きな事やってるし」って思ってる方、気をつけてください。小学校のテスト(単元テスト・カラーテストなどと言いますが)で80点台があると危険です。中学校で(これまで通りのレベルの)テストを受けると50~60点程度です。