中学地理の貿易額とかの問題
2023年08月26日
表が出てきますが、表の枠線がどうしても僕の手元では表示できません。見にくかったらごめんなさい。
先日の全国模試(中2)でこんな問題が出ていました。
(9)です。
「地理が苦手」のなかでも、これ系の問題はA級戦犯ですよね。
それぞれの数字をしっかり覚えましょう・・・で出来るなら誰も苦労しないわけで、せっかくなので出題意図をかんがえて見ましょう。
結論、これは要するに「今、世界ではどこが強いのか」を聞いています。究極の質問ですね。どこだと思いますか?アメリカですか?中国ですか?いやいや意外にEU?ロシア?・・・
「強い国」と言っても、「その前に何をもって強いのかって話じゃん!」「よく見たらEUとASEANは国じゃないじゃん!」と思った方、いいセンスしてます。そのとおりです。国の力とは何か。そしてなぜ国と連合をまぜこぜにして話すのか。
それは「力=金」だからです。どこが強いのか、それはシンプルにどこが金を持っているかという質問と同じです。そして1国だけで敵(かな)わなければいくつかの国が連合して対抗してくることもあります。商店街総出でイオンに対抗!みたいなことです。
せっかくですから、このブログを読みながら少しでも覚えてもらえるように問題形式にしてみました。
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まず人口を見ましょう。人口は、シンプルに力です。人口が多ければ多いほど市場はでかい。(言語も「一般に」人口が多いほど同じ言葉を話す人が多いですよね。そうすると商売もしやすいです)
まずは、「アメリカ・中国・日本・EU・ASEAN・インド」の人口順位を多い順に並べてみましょう!
参考:
ASEAN(インドネシア/カンボジア/シンガポール/タイ/フィリピン/ブルネイ/ベトナム/マレーシアミャンマー/ラオス(全10か国))
EU(アイルランド/イタリ/エストニア/オーストリア/オランダ/キプロス/ギリシャ/クロアチア/スウェーデン/スペイン/スロバキア/スロベニア/チェコ/デンマーク/ドイツ(加盟時西ドイツ)/ハンガリー/フィンランドフランスブルガリア/ベルギー/ポーランド/ポルトガル/マルタ/ラトビア/リトアニアルーマニア/ルクセンブルク(英国は2020年1月31日を以てEUを離脱))
このすぐ↓の「」内を反転すると答えが出ます。
「インド・中国・ASEAN・EU・アメリカ・日本」
2023年度版WHO統計(数字は国別順位☆印は諸国連合)
順位 | 国名・地域名 | 総人口 |
1 | 中国(現在2位になったと見られる) | 14億2589万 |
2 | インド(現在1位になったと見られる) | 14億0756万 |
☆ | AU(アフリカ連合55カ国) | 12億7592万 |
☆ | ASEAN | 6億7330 |
☆ | EU | 4億4673万 |
3 | アメリカ | 3億3699 |
4 | インドネシア | 2億7375 |
5 | パキスタン | 2億3140 |
6 | ブラジル | 2億1432 |
7 | ナイジェリア | 2億1340 |
8 | バングラデシュ | 1億6935 |
9 | ロシア | 1億4510 |
10 | メキシコ | 1億2670 |
11 | 日本 | 1億2461 |
※人口は2023年で1位と2位が入れ替わっているので、「いつの年代の話か」がテスト的には重要です。
上にも書きましたが、数は力です。人数が多ければ多いほど基本的に経済や軍事力が強い。たとえばEUの国は、一つ一つだと世界10位にはいっている国はありません。だから連合するんです。
表の赤色、アメリカ、日本の順位と人口は億単位で十分なので覚えましょう。
今回問題の選択肢に入っていない人口巨大勢力、それはAU(アフリカ連合)です。まだまだ経済力は弱いですが、人口だけで言えば超でかいです。そしてまだまだ増加しまくっています。21世紀はアフリカの世紀なんて言われたりもするくらいです。
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次に、貿易額です。
貿易額とは、国の間で売ったり買ったりした金額です。もちろん売る(輸出)と買う(輸入)はちょっと違いますから、まずは輸出額ランキングです。
さて、「アメリカ・中国・日本・EU・ASEAN」の輸出が多い順に並べてみましょう!
ヒント:
輸出額上位は、「売りまくってる」ってことですよ。売りまくることが出来るってことは、良い物を作っているか、たくさん作っているかどちらかです。商売ですから。
このすぐ↓の「」内を反転すると答えが出ます。
「EU・中国・アメリカ・ASEAN・日本」
順位 | 国名 | 単位:百万US$ |
---|---|---|
☆ | EU※ | 6,628,429 |
1 | 中国 | 3,593,602 |
2 | 米国 | 2,064,787 |
☆ | ASEAN※ | 1,709,839 |
3 | ドイツ | 1,655,480 |
4 | オランダ | 965,518 |
5 | 日本 | 746,920 |
6 | 韓国 | 683,585 |
7 | イタリア | 656,925 |
8 | ベルギー | 632,852 |
9 | フランス | 617,817 |
10 | 香港 | 609,925 |
11 | アラブ首長国連邦 | 598,509 |
12 | カナダ | 597,480 |
13 | メキシコ | 578,193 |
14 | ロシア | 531,887 |
15 | イギリス | 529,435 |
※EU・ASEANのみ2021年のJETROデータ、他は2022年
見ての通り、先進国が上位を占めています。物を売るということは、何かを輸入したり産出して、加工してより良い製品にして売ることが必要になります。技術を持っている国が強いんですね。現在、レアメタルや鉄鋼に代表される鉱産資源も持ち、加工する技術も持っている中国が国単独では最も強い状態です。が、EUの圧倒的パワーが光ります。
オランダが意外ですよね。国土も小さく人口もそれほど多くはないのですが、特に農業の中継貿易が強いです。
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次に輸入額ランキングです。
輸入すると言うことは、「その国にはないから他から買ってくる」か、「単純な機械を買ってきて国内で加工、より高い製品に変えて売る」と言うことです。またここで重要なのは、「買う側=他の国にとってのお客さま」と言うことです。たくさん買うことが出来る国というのは、国際的には「超大事なお客さま」なのです。
例えば日本やオランダは、自分の国で石油や鉄鋼は取れませんが、加工して機械(車など)や電子機器などにして売る技術を持っています。もちろん輸入額も大きいです。などなど考えてみて、ランキングを予想してみましょう!
では、「アメリカ・中国・日本・EU・ASEAN」の輸出が多い順に並べてみましょう!
このすぐ↓の「」内を反転すると答えが出ます。
「EU・アメリカ・中国・ASEAN・日本」
順位 | 国名 | 単位:百万US$ |
---|---|---|
☆ | EU | 6,531,415 |
1 | 米国 | 3,376,200 |
2 | 中国 | 2,715,999 |
☆ | ASEAN | 1,665,633 |
3 | ドイツ | 1,571,455 |
4 | オランダ | 898,536 |
5 | 日本 | 897,242 |
6 | イギリス | 823,866 |
7 | フランス | 817,994 |
8 | 韓国 | 731,370 |
9 | インド | 723,348 |
10 | イタリア | 689,452 |
ここでもEUが圧倒的な力を見せつけています。国単独ではアメリカが1位ですが、中国が迫ってきています。もう何年か後には中国に抜かれるという話もあります。
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まとめると、
人口:中国※・ASEAN・EU・アメリカ・日本
輸出:EU・中国・アメリカ・ASEAN・日本
輸入:EU・アメリカ・中国・ASEAN・日本
となります。日本はどっちかって言うと他に差をつけられてこの中では最下位です。
※人口については2023年(今年)のうちにすでにインドが中国を抜いて1位になっています。
覚えにくい人は、EU、アメリカ、中国、日本だけでもまずは数字を覚えてください。たいていこの4つは出てきます。ASEANなどは「それ以外」で考えればOKです。
さて、地理の勉強はここからです。
最初に「国の力」と書きましたが、
・なぜ貿易金額が大きいといいのでしょうか。
・アメリカや日本はどうやって対抗しているの?
・そもそもEUとかASEANみたいな大きな連合、中国やインドなどの人口が多い国と比較するって不利じゃない?
まず貿易額は「売る国(輸出)」「買う国(輸入)」のランキングですが、どちらも上位の方が圧倒的に有利なんです。売る力が強い国(売る物をたくさん持っている国)は、「おまえ、むかつくから売ってあげない」って出来ますし、逆に買う力が強い国(買う力を持っている=金を持っている国)は、「いいよ、おまえのところから買ってやらないから。他で買うから」ってことが出来ます。
これを国単位だけでやっていると、みんなアメリカや中国、または石油を持っているサウジアラビア(OPEC)のいいなりです。そうならないように「連合」するんですね。EUはイギリスが途中で離脱したり、国によって貧富の差が激しいなどいろいろな問題を抱えていますが、少なくとも貿易額では圧倒的に強いです。そこでアメリカや日本、中国は「自分の国を中心とした連合」を作ろうとします。
実はアメリカを中心としたTPP↓という協定を太平洋を取り巻くたくさんの国を交えてずっと話し合ってきました。
環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉|外務省 (mofa.go.jp)
が!!
トランプ大統領が一方的にこれを破棄(アメリカが言い出したんちゃうんか!!←気になる人は事情を調べて見ましょう)、現在は日本を中心とした↓に移行しています。
環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定 – Wikipedia
こういう協定を作ると、「できるだけ自分に有利なルール」を作る事が出来るんですね。日本も例外ではありません。
一方中国は、一帯一路構想↓という野望(?)を掲げて、中国中心の経済圏を作ろうとしています。
1からわかる!中国「一帯一路」ってなに?|NHK就活応援ニュースゼミ
詳しく調べると分かりますが、これに「釣られた」国は、その後とんでもない目に遭っています。こればっかりは中国のやり方に非難が集まっています。(とても返せないような巨額の金貸し、返せないとみるや重要な港などを取り上げてしまうなど)
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というわけで、地理の勉強、まずは基本の順位や数字を覚えましょう。これでたいていクリア出来ます。が、せっかくなので「どうやって順位争いを展開しているか」に目を向けてください。アメリカ、中国、EU、そしてそこに割って入ろうとしている日本、インド。どこと手を組むか?戦略ゲームです。