中学英語で何が起こっているのか
2024年07月13日
今年の中1英語は、学校によっては1学期期末テストで平均が40点台のところもあったようです。(ここは5科目平均が250点程度で全体としても低いです)
個別の事情(学校の様子がどうとか)は置いといて、義務教育英語は大きな転換点に来ています。
小学校での英語が必修化され、中1ではある程度のことを「習ったこと」として教科書が構成されているのは事実です。
最初の単元にアルファベットの書き方と共に、
I am ~
You run ~
I can ~
などが混在して登場します。
実際、ネット記事などを見ても「中学英語が崩壊している」的な論調が多いのですが、一言で言えば「時代が変わった」と言うことです。
文科省の学習指導要領が改訂されて、英語の学習についてはざっくり
文法を順番に積み上げる
↓
使えるフレーズに文法を肉付け(後付けといってもいい)していく
に変わりました。
「こんなことでは英文法が体系的に身につかないじゃないか!!」みたいなことを言う人の気持ちは分からんでもないです。しかし方針が変わってしまったのでしかたないです。
旧来の英語
・文法を体系的に積み上げる(たいてい初期段階で脱落する)
・ほぼ全員が英語は話せない
・その代わりごく一部の進学校の子が読み書き英語が出来る
↓
現在の英語
・ごく一部だけでも耳なじみがあったり最低限の会話表現を知っている
・体系的な文法学習はせいぜい中学後半、高校メインでやりましょう
・大学行きたい人は文法とか読み書きリスニングを従来通りしっかりやってね
と変化したということです。国全体で見れば以前より良くなっていると考えるべきでしょう。実際諸外国はそんな感じなわけです。
こういう「日常使えるフレーズ」的な物を「チャンク」と呼びます。
詳しく説明すると、ある一定の固まりフレーズです。
たとえば Thank you for coming today! みたいなので、Thank you for ~ingをまるごと覚えてしまう、そんな感じです。
これまででしたらthank は他動詞で後ろに目的語youがきて、「~に向けて」を表す前置詞forを使うのが一般的で、前置詞の後ろは動名詞で、、、みたいな説明をしていたわけですが、そこをいったん取っ払ってしまうという学び方です。
ちなみにこれを真正面から扱っている番組が
です。(これを見ても学校の英語の点数は上がりませんので、あくまで参考までに)
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とはいえ、この「中1で既にある程度知っているはずだ」は、ちょっと注意が必要です。
現在の方式によって「あ、それ小学校で習った!」とか「知ってる!」「聞いたことある!」は増えましたが、「書ける」子は全く増えていません。ひょっとすると、小学校で得意感を持ったがゆえに中学で勉強しない子まで出てきている可能性すらあります。こうなるとマイナスです。学校=スクールを知っていても、shoolとかscoolって書く子が一杯います。(正しくはschool)
中学以降の英語では、小学校と違って圧倒的に「書く力」を求められます。どうかんがえても、
He is like music.
はやっぱり間違いだし、
What time do you get up?
に It’s eight.とかIt’s at eight.ではダメなんです。(←この間違いめちゃくちゃ多いです)
でもこれで平気だと思っている子がとても多いです。小学校英語のノリで「雰囲気英語」の子が英検3級を取ってたりします。英検3級で三単現のsルールを知らない子がたくさんいます。それで得意と思っているのでやっかいです。
加えて、おうちで「うちの子は実際ちゃんと出来るのかしら?」の判定を困難にしているのが冒頭の「平均40点台の中1英語テスト」です。これでは出来るのか出来ないのかすら分かりません。問題が悪いのか、教え方が悪いのか、勉強の仕方が悪いのか、分からないわけです。(その中学校の子たちは、塾生はみんな平均+30点くらいはあるのでまだましなんですが、でも他の中学のテストを受けても正直80点~90点くらいかなと思うのでかなり不十分感は否めないです)
というわけですので、おうちで英語を見てあげる機会があったりしたら、昔の考え方とは全く違っているので気をつけましょう。中1の半年~1年かけて文法的な勉強を整理していく、そんな感じです。