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高校国語の勉強について

小中学生での国語の勉強については過去記事もありますのでご参照いただければ_(._.)_

(→に「国語の勉強」リンクがあります)

 

 

今回は高校の国語で苦労しているみなさんへ向けてです。長いです。すみません。

いろいろなポイントがありますので、見出しをザザッと見て必要な所を見ていただければと思います。

国語は「勉強の仕方が分からない」と言われがちな科目ですが、例えばこの時期の高3生でも「掴めば一気に上がる最後の秘境」でもあります。諦めないで!

 

 

 

共テについて

共テ過去3年分過去問

テーマとしてはいきなり大物ですが、これが非常にやっかいです。大問4つ、評論・小説・古文・漢文であることはずっと変わりないのですが、センターから共テになり多少変遷を経つつもとにかく分量が多く難解で、「速さと正確な処理能力」が求められるのは間違いありません。が、対策ができます。

 

現代文・古文・漢文に共通して言えることですが、「自分が何点とりたいのか」を把握してください。逆に言えば、「いくつは落としても構わない」と言うことをしっかり知っておくことです。国語も他の科目と同様時間との戦いです。確実に取りたい部分と、取れたらラッキーボーナスステージとをはっきり分けましょう。これだけでも対策度合いがかなり変わってきます。特に昨今の難度を考えるとラスト1問にこだわるのは時間の無駄です。しっかり読んで答えるところと、雰囲気で答えを選ぶ所を自分で決めておきましょう。まずはボーダーのクリア、つまり「足を引っ張らない程度に取る」ことが国語での最大のミッションです。

 

 

まず現代文ですが、とにかく文章量が多い上に、本文を読んだ上でさらに「これを読んでSさんはこう考えた」的なものまで読まされます。得点する上でここは重要なポイントです。

 

即効性のある解法テクニックの一つですが、「まず最初に『最後のSさんの意見』を読んでおく」ことです。「この文章はそもそも何についての文章なのか」「出題者が何を意図しているのか」がある程度分かります。そのうえで設問を斜め読みして、それから本文を読みましょう。必ずしもSさんの意見が本文の要約になっているわけではありませんので、あくまでも「こう言う内容の文なんだ」「あとでここを問われるんだ」という情報源だと思ってください。また、設問は「問題作成者」の意図がはっきり出ているうえに、主要なテーマや小説なら最も大切な登場人物まですぐ分かります。白紙の状態から本文にいきなり突撃するよりはるかに効率的です。

 

 

次に現代文の内容についてです。

 

いくつか過去問をやればすぐ分かりますが「芸術、建築、哲学、思想」に関する出題が非常に多いです。昨年は芸術、一昨年は建築、その前は哲学・仏教的な内容です。これはセンター時代からずっと続く伝統であって、たまたまではありません。数学で言えば二次関数、確率、数列のような、言ってみれば「国語における有名単元」とも言えます。そこで、この分野についての最低限の知識をつけておきましょう。塾に置いてある参考書を読んで「この題材ってこれが議論されるのだ」(数列だったらまず一般項を求めるのだ、みたいな)定番の内容を知っておきましょう。知らないで読むのはΣを知らずに数列の問題を解こうとするくらい無謀なことです。(それでも「ちょっと何言ってるかわかんない」ってことだったら質問してくださいね!)

 

これが前提となり、加えてテストとは「あくまで出題者(本文の筆者ではない)との対話である」ということです。必ず本文に根拠があり、本文に書かれていないことは出題されません。内容そのものに共感しようがしまいが、出題者が何を意図して何を問うているのかを「科学的なやり方で」導き出す物だということです。つまり、「読んでどう思ったか」といった、個人の感情・感想は一切求められていないということですから、むしろ数学のような方法で問題を解きましょう。

 

この練習は、河合の黒本などの解説をしっかり読むことが1番近道です。ポイントは「出題者目線」です。解説には、出題者が何を意図してどのように作問をし、何を根拠にこの選択肢を正解としたのかがしっかり描(誤字ではない)かれています。これに慣れれば爆発的に点が上がります。

 

小説も同様というかなおさらですが、あくまでテストであって感想文ではありません。物語を素材として「論理的な方法を持って」作問、解答が作られるということを常に意識してください。小説はテーマがさまざまで対策も難しいところではありますが、まず対策は過去問をたくさんやることです。もちろんやりっぱなしにせず解説をしっかり読んで、出題者がどうやって問題と解答を作っているかを知っていきましょう。小説は「こう思ってたら全然違った」と言うことがありがちなんですが、それは「入試において小説とはどう扱われているか」を分かっていないことによります。テストである以上確実に答えが一つに決まるようにできているわけですから、そこには入試特有のロジックがあります。これを身につけることが小説の得点アップで最大のコツです。

 

 

古文についてですが、古文は説話系、おっちょこちょいネタ系、雅(みやび)とはこれぞ的な物が多く、また、和歌がからんでくるパターンが多いです。苦手な人は、そもそも古文の世界観が分かっていないパターンが多いと感じます。「え?なんでそれが『おかし』なん?」的なアレです。古文の勉強というと高校に入ってからずっと助動詞やら敬語やら文法ばっかやっているイメージかもしれませんが、「問題を解く」という意味で言えば、文法はあやふやでも内容が理解出来ればそこそこ点数が取れます。これも塾に参考書があるので読んでみてください。表紙に筆者女性が乗っているやつですね。ちょっと長いのですが、めちゃくちゃ真正面から古文をやってくれています。(あとは映像授業のマドンナ古文も良いです)

 

 

漢文は逆に基本的な句法に慣れましょう。漢文は問題集も薄いものが多いのですが、それは「やらなければいけない事が少ない」ことを意味します。漢字の意味はある程度推測可能ですから、あとは基本的な句法の練習をしていきましょう。それをやって行くなかで漢文の世界観をしっていくことです。比較的短時間である程度の点数まですぐ持っていけます。

 

 

二次について

二次で国語がある大学は主に文系や、理系でも上位大学に限られてきます。結論から言うと、大事なのは「要約力」です。本文を読んでまるまる要約という意味ではなく、「答えの根拠となるべき所を見つけ出して要約する」力と考えてください。

 

共テについても言えることですが、テストである以上、出題者は「これが根拠になる」という箇所をもとに解答を作っています。まずは「根拠を見つけ、それを要約する」ことを練習しましょう。各予備校が出している大学別対策問題集や過去問などを練習するなかで、まずは根拠を見つけ要約する。これだけで大半の点数は稼げます。そのなかで「言い換え」や「削る」という作業が付随してきますので、「なぜここはこう言い換えたのか」「なぜここは削ったのか」を解説を読みながら一つ一つ確認しましょう。

 

一つ大きなポイントとして挙げられるのは、解答の文字数が決まっている問題の練習です。

 

根拠を見つけ、加工・要約して解答を作ると字数に収まるように出題されているわけですが、例えば「20字以内で」ならかなり削って削ってコアになるところだけ答えることになるでしょうし、「100字以内」だと代名詞が何を指すかを探し出して代入したり、主述関係がはっきりした文章を作ったりという作業が必要になってくるでしょう。字数制限によって出題者が何を意図しているのか、そこから逆算してどのように解答を作っていくのかが技術で、これは練習によって習得できます。(そして意外にそれほど時間はかかりません)

 

また、自分が作った解答が正解かどうか分からないこともあると思います。解説に「これとこれが入っていれば正解」的な事が書いてありますので良く読んで確認しましょう。この作業をおろそかにしている子が非常に多いです。自分が合ってるいるか間違っているか分からないままの勉強には意味がありいません。もし分からなければきちんと質問しましょう。

 

 

最後に、1、2年生に向けて。

 

上記の内容(を読んでなくてもいいですが)を踏まえて、普段の国語の勉強を「世界観の勉強」だと思ってください。教科書にはさまざまな分野の文章が出ていますが、みなさんが思っている以上に「名文」です。テスト的にも。例えば芸術についてなら、「芸術とは何か?」ではなく、「芸術の分野では何をどのように議論されているか?」を知ることが大切です。高校の授業は決して無駄ではありません。入試のことを考えればちょっと細かすぎるなとは思いますが、みなさんの知らない世界観を展開してくれているのは他の科目と同じです。現代文は科学的思考の場と思いましょう。

 

一方古文漢文は、1,2年生のうちは基本的には技術です。文法句法などの知識をできるだけ身につけましょう。ここをサボると相当痛いです。そのうえで、その世界観を少しでも知るよう努力しましょう。多分現代を生きるみなさんにはつまんなくて分からないことも多いかもしれませんが、実は扱われていることは現代社会や諸問題に通じるテーマが隠されています。それを知っていくことは、直接的に入試に役に立ちます。

 

1,2年生からめちゃくちゃ勉強しておく必要はありませんが、現代文の世界観を知るような塾に置いてある本に目を通しておきましょう。基本的な用語を知っておくだけでも授業の解像度がまるで違います。できれば週に1回だけでも現古漢の問題を1つずつやっておけるとベターです。

 

 

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