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国語の勉強法・紛らわしい選択肢編

国語の勉強法はよく聞かれるのですが、実行に移す子は少ないです。こちらは一生懸命お話しするのですが結局面倒な気持ちはよく分かります。でもがんばりましょう。国語はちゃんと勉強したら上がる科目です。しかも、基礎教養や漢字・言葉の力がある子は、本当にごく短期で点数を上げる事ができます。高3の冬に共テ(当時センター試験)で現代文を40点上げた子がいます(40→80)。方法論をしっかり分かればそれくらい上がります。

 

 

 

今回は選択肢問題についてです。長いですが、苦手な人はぜひじっくり読んで考えて見てください。下部に、過去に国語の勉強について書いたリンクを再掲しておきましたので良かったらご覧ください。

 

 

前提は、「筆者ではなく出題者との対話」です。あくまで国語は、文章という素材を元に「出題する人と回答するひとの対話」が行われているのだと意識することです。そこを忘れないように。

 

例題を載せますが、解説目的ですのでアで正解を先に出します。

 

 

本文

ひろゆきは、今やインターネットのみならずテレビですら目にするようになった。対談相手が大学教授だろうと評論家だろうと、臆することなく持論を展開し痛快に切り捨てていくさまはたしかに見ていて面白い。彼のそうしたさまは「論破」と呼ばれ、今や小学生ですら相手を言い負かすと「はい、論破!」と言って笑うのだ。

ところが、ひろゆき本人は「実はぼく、論破って言葉は使ってないんですよね」と言う。たしかに彼自身は持論を展開しているだけだ。よく聞いていると「たしかにそうだな」と思えるくらいには論理的である。そして多くの場合、それは正論であって常識的である。相手はまさに「ぐうの音も出ない」さまを晒してしまう。「論」を持って相手を「破った」と映るのが「論破」と言われるゆえんであろう。

 

問い

ひろゆきはについて書かれた文のうち、最も適切なものを次の選択肢から選べ。

 

ア(これが正解) ひろゆきはインターネット時代の代表的人物として知られ、近年多くのメディアでもてはやされるようになった。専門家相手に持論を展開し、議論で優位に立つさまは「論破」と呼ばれ子どもですら「論破」合戦をする。しかし本人は「論破」を意識しているわけではなく、あくまで論理的な正論を展開しているだけであるが、結果としてそのさまは相手を「論破」しているように映るのだ。

 

 

まず、正解の選択肢はどうやって作られているのでしょうか。例えば本文で「今やインターネットのみならずテレビですら目にするようになった」とあるものを「多くのメディアでもてはやされている」と言い換えていますが、間違ってはいません。←この「間違ってはいない」が重要です。言葉が変わっているので一瞬迷うのですが、気になるところは線でも引いておいてあとでチェックするようにしましょう。

 

以下、いくつかの「誤答」パターンです。

 

 

間違い選択肢の例

その1 正解の文章の一部を敢えて間違える

イ ひろゆきはインターネット時代の代表的人物として知られ、近年多くのメディアでもてはやされるようになった。専門家相手に客観的な持論を展開し、議論で優位に立つさまは「論破」と呼ばれ子どもですら「論破」合戦をする。しかし本人は「論破」をしているわけではないと言う。あくまで論理的な正論を展開しているだけであるが、結果としてそのさまは相手を「論破」しているように映るのだ。

 

赤字のところがあとで挿入・言い換えた「明らかな間違い」の部分です。一瞬「あれ?特に間違ってなくない?」ってなりますが、どちらも本文にはでてきませんし、「そこまでは言っていない」です。

 

 

間違い選択肢の例

その2 誇大表現

ウ ひろゆきはインターネット時代の代表的人物として知られ、近年多くのメディアでもてはやされるようになった。専門家相手に持論を展開し、議論で勝利するさまは「論破」と呼ばれ子どもですら「論破」合戦をする。しかし本人は「論破」を意識しているわけではなく、あくまで論理的な正論を展開しているだけであるが、結果としてそれは論理的であるが故に正しく、相手を「論破」しているように映るのだ。

 

かなりわかり易く言い換えましたが、明らかに誇大表現です。本文では「臆することなく持論を展開し痛快に切り捨てていく」とは書いてありますが「勝利する」とか「勝敗をつける」と言った表現は用いていません。また、「論理的であるが故に正しく」についても、本文では「正しい」とは一言も言っていません。

 

 

間違い選択肢の例

その3 論理展開を敢えて間違える

エ ひろゆきは専門家相手に持論を展開し、議論で優位に立つ。そのさまは「論破」と呼ばれ子どもですら「論破」合戦をする。こうしてインターネット時代の代表的人物として知られ、近年多くのメディアでもてはやされるようになった。しかし本人は「論破」を意識しているわけではなく、あくまで論理的な正論を展開しているだけであるが、結果としてそのさまは相手を「論破」しているように映るのだ。

 

本文では、

・「インターネット時代の代表的人物」→「テレビでも見る」→「相手を痛快に論破する」

の流れで書かれていますが、この間違い選択肢では

・「相手を痛快に論破する」→「ゆえに、インターネット時代の代表的人物として知られるようになった」

という順番にしてあります。書いてあること自体一つ一つは間違っていないのですが、論旨の展開が逆になっています。

 

 

オ ひろゆきはインターネット時代の代表的人物として知られ、近年多くのメディアでもてはやされるようになった。専門家相手に持論を展開し、議論で優位に立つさまは「論破」と呼ばれ子どもですら「論破」合戦をする。※

 

この選択肢では、わかり易く※印以降を削りました。解答としては「不十分」です。間違っていませんが、足りないのです。「これは判断し易い」と思ったでしょう?テストになるとめっちゃ迷うんです。選択肢イウエが明らかに間違っているのに対し、オは間違ってはいないのです。足りないんです。これやられるとキツいですよね。本番ではもっと巧妙に必要な部分を削ってきます。

 

 

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代表的な「誤答」例をいくつか挙げてみましたがいかがでしょうか。

 

 

現代文は、筆者ではなく出題者との対話であるというゆえんはここにあります。出題者は、「正解」と「間違い」を明確な根拠を持って作らなければなりません。出題者が最も恐れるのは「答えが2つある」状態です。そのため、間違いは明確に間違いでなければなりません。「間違い」選択肢を作るには、正解の一部をわざと間違えたり、すり替えたり、誇大表現にしたり、削ったりするのが確実です。共テの問題をやったことのある人なら分かると思いますが、選択肢の分の前半はみんな同じ・・・ってことがあるでしょ。多分ですけど、こうやって「正解を元に誤答を作る」という作業をしているのではないかと思います。推測ですが結構当たってると思います。こうして「どれも正解に見える~🌀」という選択肢問題が作成されていくわけです。

 

 

・・・ということは。

 

 

みなさんがやるべきことの一つは「どうやって間違いを入れ込んだか」を常に意識することです。特に解答・解説を見るときには、「この出題者はどうやって間違い選択肢を作ったのだろうか?」という目線で見ると、かなり正解がわかり易くなります。「こいつ性格悪いな~」とか「これはわかり易いな」というのもはっきり分かります。

 

 

ちなみに共テでは、最初の方の設問はこうした「誤答」がわかり易くなっているので、苦手な人は特に問2とか問3あたりを注意して研究してみるといいと思います。

 

 

 

以下、過去の国語の勉強法リンクです。参考までに。

 

 

 

 

字数制限の問題について

国語の勉強法のヒント | 開智塾丨各務原・関・美濃・美濃加茂・富加の進学塾 (kaichijuku.jp)

 

そもそも文章を読むということ

国語の勉強法のヒント そもそも文章を読む話 | 開智塾丨各務原・関・美濃・美濃加茂・富加の進学塾 (kaichijuku.jp)

 

漢検をやった方がいい

漢検への道、スタート! | 開智塾丨各務原・関・美濃・美濃加茂・富加の進学塾 (kaichijuku.jp)

 

筆者の気持ちなんかわからんくていい

国語の苦手な人へ(6/13追記) | 開智塾丨各務原・関・美濃・美濃加茂・富加の進学塾 (kaichijuku.jp)

 

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