弁理士という仕事
2022年03月15日
「就活」という意味ではちょっと異なりますが、弁護士や医者、公認会計士とはまたちょっと違う世界のことですので書いてみます。
結論から言えば、「持っていると会社によってはプラスになる」「特許事務所で働ける」という感じです。
まずそもそも「弁理士」というお仕事は、簡単に言えば「特許に関わる国家資格」です。難しい言葉を使うと「知的財産の専門家」ですね。
特許=発明、というイメージの方も多いかもしれませんが(それも間違いではありませんが)、それよりも企業による技術のことをここでは考えてください。
例えば、ある会社で新しい製品を作ったとします。
↓
売ります。
・・・というわけにはいかないのです。
理由は大きく2つ。
1,そのまま発売したらすぐにパクられて、金のある企業がより安価な製品を大量に作ってしまう。
2,誰かの特許を侵害していたら、特許所有者に特許料を請求されるかもしれない。
こうならないようにするのが「弁理士」さんのお仕事ということになります。上記の1,2に照らし合わせるなら
1,特許を出願する
2,他者の特許を侵害していないか確認する。必要な場合は特許使用料などの交渉や調整を行う。
となります。
これらをもう一歩進めると、
1,特許の範囲を可能な限り広く取り、「よく似たちょっと違うもの」を作りにくくする。
2,他者の特許を侵害していないか精密に確認、専門家同士の話し合いできっちり折り合いをつけて揉めないよう、かつ、他者の特許を使う場合の特許料を極力少なくする、または払わなくてもいい(侵害してないですよね?と)確認をする
仕事だとも言えます。
通常、大企業だと「法務部」みたいな部署があって、弁護士やら弁理士やらの資格を持った人がいてこの仕事に当たります。任天堂が有名ですよね。もちろん他の会社にもあります。
法務部がない会社の場合は、弁理士さんに仕事を依頼することになります。ほとんどの場合「特許事務所」のような会社にお願いすることになりますが、ここで弁理士さんが働いてるわけです。
資格としては独立開業が可能です。が、仕事の性質上、どうも独立して一人でやっていくのは大変そうです。
もちろん仕事の内容もそうですが、特許は専門的技術だらけです。理系出身の弁理士さんが多い(9割くらいは理系出身者)のはこのためです。ということは、自分の得意でない分野の依頼が来たときには結構困りますよね。一人だとなかなか対応出来ない場面も多くなってきます。となると、色んな分野の専門家を抱えた大きな特許事務所に依頼した方が早いというわけです。
加えて、これは弁理士に限りませんが、独立するということは自分でお客さんを探し、顧客の要求に応え続けなければなりません。膨大な事務作業をこなしながらさらに新規顧客の開拓をする・・・というのはなかなか大変ですよね。独立するってのはどこの世界でも厳しいものです。(思えば開智塾も最初は生徒2人でした)
そんなわけで、弁理士の大半は「企業内弁理士」か、「特許事務所勤務」となります。それはそれで、サラリーマンとしての悲哀があるわけですけどね。
企業内弁理士の給料は、会社によります。普通のサラリーマンにちょっとお手当がつくくらいのところから、特別チームの一員として高給取りになることもあります。特許事務所だとおおむね年収500~700万(最近はもっと厳しいかも・・・)という声が多い気がします。そんなにたくさんの知り合いがさすがにいませんのでサンプル数は少ないです。あくまで噂程度に。働き出して専門知識を身につけて、そこから勉強する人も多い世界だそうですが、今後日本にとってはとても重要な分野ですから、特に国際分野に強い弁理士は高給の可能性が高くなります。