大学入試の英語
2019年09月24日
いわゆる従来型のセンター試験が、今年度で終了します。
来年度の入試、すなわち現在高校2年生から、新テストに移行します。
元々は(たしか)日本の学力を上げる、国際競争力を上げるとか、そんなだったはずです。
そのために、いわゆるマーク式で正解を選び取るだけの問題ではなく、思考→論述などの力を高めなければならないとか、英語だったらただ読みとるだけじゃなくてコミュニケートできる能力を高めなければ、という話になりました。
で、結果、ベネッセだけがボロ儲けするという構図ができあがりました。
(23年までは、従来通り大学入試センターも英語の問題を作成し、大学によってはその結果を採用することも出来ますが、)基本的には現高校2年生より民間の英語試験のスコアをセンター試験の代わりに提出することになります。
民間の英語試験は、GTECやTOEFL、英検など全7種類から選択し、決められた期限内に2回受け、スコアの良い方を提出することが出来ます。
どのテストを受けるかが受験生の自由ならば、そのスコアをどう使うのかを決めるのも大学の自由です。大学によっては「英検2級を受験の最低条件とする」というところもあれば、「英検準1級以上を加点要素として評価する」といった所もあります。
素朴な疑問として、「7つもあんの?民間試験?」と思われたのではないでしょうか。
試験名(実施団体)
・ケンブリッジ英語検定(ケンブリッジ大学英語検定機構)
・TOEFL iBT(ETS)
・IELTS(IDP/ブリティッシュカウンシル)
・GTEC(ベネッセ)
・TEAP(英検)
・TEAP CBT(英検)
・英検(英検)
一般によく知られているTOEICは、日本だけのために合わせるのは無理ってことで不参加となりました。
そもそもこんなにも民間の英語検定があったのに驚きつつ、さて、受験生はどれを選ぶでしょうか。
当然、GTECか英検です。塾の立場から言ってもそれ以外考えられません。
今はやっていませんが、かつて開智塾ではベネッセ英語教室をやっていた事がありました。もう10年近く前になりますが。その時点で、GTECの話は出ていました。世の中に腐るほどある「英会話教室プログラム」のうち、ベネッセを選んだのは、当時まだそれほど知られていなかったGTECをベネッセが強烈に高校に売り込んでいたからです。
実はベネッセは、こうした動きは当然かなり昔から見越していました。
そして、日本に先駆けて韓国などを中心にGTECという英語検定試験を実施していました。日本の親世代になじみがないのは、日本で本格的に導入(実施)しはじめたのはここ数年程度だからです。
しかし、「進研模試」がいつの間にやら全国に広まって、そこを足がかりにGTECを拡大。今回の大学入試改革にガッツリ参入し、ボロ儲けすることになったのでした。
今、本屋さんにいくとGTEC用の参考書やらがいっぱいあります。学校にも、ベネッセの営業がかなり来ています。昔なじみの英検よりも、現役高校生にはGTECの方が認知度が高いくらいです。
受験生は、当然「どのテストが点数を取りやすいか?」しか考えていません。
ベネッセですよね。問題作っているところが学校に来て、得点のためのノウハウを売り込んでいるんです。当然です。
それが今の大学入試改革の状況です。全国の学校が反対するのは、当然でしょうね。
開智塾的には、記述などに耐えうる学力を対象にしてきたので今さらどっちでもいいです。慣れれば取れるでしょう。
そもそも、センター試験+国立2次記述式のコンボは、発話以外の能力は非常に高度に要求されていたので、さほど不満は皆さんなかったはずです。
英語教育?をなんかがんばっちゃう人はどうしても日本の入試の仕方が我慢ならないらしくてこんなことになっちゃったわけですけど、受験生は気の毒ですね。特に中堅クラスの高校の子にとっては、どれだけベネッセにお布施を積んだかで点数が変わってくるから大変ですよ。
ironyではありません。そのまんま、ストレートな話です。塾は合わせるだけですからね~。
というわけで、ここ数年の受験生はGTECか英検に絞りましょう。その先の受験生は、そこから動向を見極めていきましょう。どっちが楽か。多分、この2つ以外はやっても損するだけでしょう。