ドル円の話③
2024年08月01日
基本に戻って、ドル円が動くとどうなるか、です。
輸出をしている会社を考えましょう。
例えばトヨタ。車を作ってアメリカで売ったとします。
すると、当然現地ではドルが手に入るわけですね。
ここでは分かりやすく$1=100円としましょう。
車が100$で売れると、この100$を日本に持って帰って来る際にドルに換えなければなりません。
$1=100円だと、10000円になりますね。
ところが、$1=90円になったとしましょう。(円高)
100$=9000円になってしまいます。同じ車を売ったのに損ですよね。
逆に、$1=120円(円安)になったとしましょう。今度は100$で売った車が12000円になるわけです。超おいしいですよね。なにもしなくても収入が増える。
だから、円安は輸出企業にとってはお得なのです。
一方、輸入する企業はどうでしょう。
$1=100円のときは、アメリカで100$のものを買おうと思ったら10000円用意して100$に換えて支払います。
もし$1=90円(円高)になったら、同じ100$を手に入れるのに9000円でいいことになります。(1$札を90円で買うと思ってください)
逆に$1=120円(円安)になったら、同じ100$を手に入れるのに12000円必要です。困りましたね。同じものを買うのに余分にお金がかかります。
よって、現在の円安状況ですと輸入する企業は大打撃です。
そんなら国内で買えばいいじゃん→いやいや、小麦とか超輸入に頼ってんじゃん。
金額にして60%以下、カロリーベースに至っては40%以下の自給率です。つまり、金額で40%、カロリー計算で60%は輸入に頼っているわけです。
食糧ひとつとっても、自給率が非常に低いのが日本の現状です。円安になると、外国から買ってくる時にたくさんのお金が必要になります。最終的にそれを買う我々消費者も、そのままその影響を受けます。
しかも、小麦の巨大生産国であるウクライナが戦争状態で、今世界中で食糧争奪戦が行われています。トウモロコシ(果糖ブドウ糖液糖の原料)なんかも争奪戦です。
円安は、物を作って売る製造業にとって短期的にプラスですが、トヨタとて輸出だけをしているわけではありません。鉄鋼などさまざまな材料を輸入していますから、単純に儲かるといったらそうじゃないのです。そのうえ社員、ひいては国内消費者に物を売ることを考えるとあまりに円安が続きすぎるのも困りものなのです。