「質問をする」中級編
2023年08月22日
勉強って、「自分だけで黙々とやる」と思っている子が結構多いと思います。「同じようにやってるのに私は出来ない。あの子は頭が良くて私は悪いんだ」って気持ち、よく分かります。
でも実際に塾をやっていると、よく出来る子ほど質問に来るのを実感します。質問量と成績はほぼ比例するんじゃないでしょうか。
今日は質問の仕方の中級編です。
初級編は↓このあたりをどうぞ
この壁は大きい | 開智塾丨各務原・関・美濃・美濃加茂・富加の進学塾 (kaichijuku.jp)
質問をするようになったとき、最初に聞いてくるのは「解説のここの計算がなぜこうなるのか分かりません」です。それで「なるほど!」ってなることはとてもいいことですね。
少しレベルを上げて、中級編では「どういうポイントを大切にして質問に来るか」です。
塾では「白紙ではなくまず自分で式や図を書いてから持っておいで」って言い方になるのですが、これが次に(そしてとても大事な)ポイントです。
例えば数学の問題集はとても丁寧に説明を書いてくれています。ですが、意外に「なぜこの解法を思いついたのか」については書かれていないことが多いです。
・なぜ最初にこれをxとおいたのか
・なぜ最初にこの公式を使おうと思ったのか
・なぜここに補助線を引こうと思ったのか
・どの時点で(どこを読んで)この解き方で行こうという見通しを立てたのか
などです。
このあたりのことが意外に書かれていないんですね。経験値・経験知って言いたいところですが、それじゃあ質問に対する回答になっていない。
高1数学の内容で申し訳ないですが、例を挙げると↓のような感じです。
二次関数 の最小値を求めよ。
解答
(←平方完成といいます)より
(i) のとき
以下略
大分はしょりましたが、こんな感じです。
このときに大切なのが
・なぜ平方完成するのか
・なぜ場合分けをするのか
・なぜで場合分けをするのか
という、「最初の1行、2行目」がどこから出てきたのか、なぜそうするのかというのを聞くと良いです。分かっている人からすれば当たり前のことなんですが、実はこの点が当然に分からない子って多いんです。「なんで平方完成するの?」「え?二次関数って平方完成するんですよね?」みたいな、微妙に「う~ん?」っていう答えが返ってくることはザラにあります。
つまり、「こういうものなんだ、よく分かんないけど」ってところ。ここを放置せず「なぜそうするの?」ってところに目を向けてみましょう。
もう一つ。
最初に↓のような補助線を入れます(外にもやり方があります)。
すると、このように比を右に持っていく事が出来ます。
結果、右の辺の比を統一して上から順番に20:8:21とする事が出来ます。
(これも途中でぶった切って恐縮ですが、もう少し手数をかければ答えが出ます)
さて、この例では、最初に補助線をいれます。
なぜ赤色の補助線を入れたかというと、続きを見ていけば「あ、右側の比が分かるんだ」となります。が。
これ、すごく「あー、なるほど」ってなりがちな説明なんですが、その前に実は「なぜそこに平行線の補助線を入れたの?それって思いつき?もしくは常識?」ってのがとても重要なんです。
もしこれが思いつきなら、入試当日でも神がかった奇跡が必要になります。
もしこれが常識なら、もっと勉強したらちゃんと出来るようになります。
答えは「どちらも正解」です。
いくらかは思いつきの部分はあります。確かに。でも、一方で「面積比を扱うときは平行線を引いて相似(二乗の比になる)を使う」とか「頂点が同一な三角形を分割すると底辺の比が面積比になる」というのは定石(じょうせき)だったりします。
ここで大切なのは、「面積比を求めたかったら平行線の補助線をうまく引く」ということを知っているか、そしてそれは決して全て思いつきというわけではないことを知っていると言うことなのです。
質問の中級編では、ぜひ「なぜ最初にそこに線を引いたのですか?」と言うことを聞くようにして行きましょう。正直このレベルの質問は、答える側も苦心します。なぜってある程度経験的に知ってしまっているからです。でもそこを答えるのが僕らの仕事なので、ぜひ苦しめに来てください。もっともっと解像度を上げて答えていきたいと思います。
今日のキーワード
「最初の1行はどうやって思いついたのですか?」
僕は授業でここを一番大切にしています。