商社という選択
2020年09月14日
世間一般にあまり知られていない業種として、「商社」があります。
期限は江戸時代とか、日本独特の業態だとか色々言われますが、一言で言えば「お金を調達し、色々なところから物を買い付けてきて、売りさばく」という仕事です。
何かの商品を専門で扱う「専門商社」と、さまざまな物を幅広く扱う「総合商社」に分かれます。就活で一般に人気なのは「総合商社」ですね。
ここだけみたら「なんだ、んなの普通の商売じゃん」って思われるかもしれませんが、何せ規模が違います。
総合商社で日本no1は、何と言っても三菱グループの総本山(の座を銀行と争う)三菱商事です。なんと売上14兆円※、営業利益5300億円。
※商社は、そのビジネスの性質上「買いつけて、売る」ことが多いですから、売上も莫大ならば仕入も莫大になります。売上の割に利益率が低いと言われがちなのもこのあたりから来ていますが、それにしても利益5000億超とは。
以下、伊藤忠商事(売上)11兆円、三井物産6.8兆円、丸紅6.8兆円、住友商事5.3兆円と続きます。
これら巨大総合商社は、社員一人一人が卓越したビジネススキルを持ち、国内外、政財界宗教さまざまな壁を超えて世界中を駆け回り、巨額の資金を使って大きなビジネスを成立させます。超かっこいいですよね。
例えばこんな逸話があります。
何年か前、日中関係が悪化した際に、中国は日本に対し「レアメタルの輸出を停止する」という措置を執りました。日本の工業技術にはたくさんのレアメタルが使われているのですが、そのほとんどが中国でしか取れないという状況で、それを利用して外交上の取引材料にされたのです。
中国は日本に対し、これで対日貿易がかなり有利になる・・・と踏んでいたのですが、どっこい、日本はこの状況の打開に本気になりました。半年もしない内に世界中の鉱山を駆け巡って別の場所にレアメタルを発見、大量に輸入する契約を取り付け、一気に世界中の市場価格を引き下げてしまったのです。
焦ったのは中国です。売り惜しんで大量に在庫を抱えていよいよ日本に高値で売りつけようかという時に「もうあるからいいです、no thank you」と言われてしまった。挙げ句に価格はどんどん下がる。逆に「もっと安くするからなんとか買ってくれ」と泣きついたということです。
このとき、大活躍したのが商社マンだと言われています。
彼らは非常に高い語学スキルや政財界との繋がり、機動力を生かして世界中どこにでも行って、商いを成立させてきます。それぞれの商社には、「おれは鉄鋼に強いんだ」とか「レアメタルなら任せてくれ」とか「ITなら私がいくわ」みたいな、世界に名の轟く「その筋のすげえやつ」がたくさんいるのです。入社以来30年、世界中の鉄鋼市場を知り尽くしています、みたいな感じですね。(多くの商社がこのように、内部で専門化しています)まぁ、自分の希望しないカンパニーに配属されてしまうというリスクもあるでしょうが・・・。
なんにせよ、こうしたビジネスの仕方は日本独特といわれて、世界でも圧倒的な強さを誇っています。
最初に出てきた「三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、丸紅、住友商事」は五大商社と言われ、大学生の就活人気で常に上位に入ってきます。
商社の就活人気が高いことには、かっこいいことのほかにいくつもの理由があります。適当に列挙します。
ブランド力。「ただの三菱じゃないぜ、the三菱といえば商事のことさ」的な。
給料。35歳くらいで年1500万くらい。
「国際的」イメージ。海外出張とか多い。
もてる。とにかくもてる。
などなど、巨大優良企業のなんたるかをまざまざと見せつけられる、そんな就活「超」勝ち組が、上位総合商社です。
当然、入社へのハードルは非常に高いです。
そもそも、英語くらいはある程度しゃべれる前提です。TOEICでいえば7~800くらいは要求されます。学歴は旧帝大卒ってくらいじゃバンバン落とされます。
そして仕事は超絶ハードです。具体的にどうこうとは言いませんが、まぁ給料が高い所というのはそれなりにハードなんですよね。超高学歴、センスも努力もしている人たちの集団ですから、あとは体力勝負というわけです。
あまり表に出てこない(?)業界ですが、ぜひ調べてみてください。ちょっと、というかずいぶん面白い業界ですよ。