5分で分かるウクライナ情勢(6)/台湾情勢
2022年08月04日
戦況が膠着化し、長期化の様相を呈しています。
ロシア・ウクライナは小麦の輸出大国でもあり、ここが止まっていると世界的な(特にアフリカや中東などの貧困国)の食糧危機になると言う話が前回ありました。
その後、国連・ロシア・ウクライナ・トルコ※で協議を持って、小麦輸出を再開できる合意を行いました。
※トルコは黒海から地中海につながるボスポラス海峡の管理権を持っているので重要です。
で、合意の翌日、輸出のための港湾をロシアが爆撃するという暴挙に出ました。
国連安保理 穀物輸出合意も輸出拠点攻撃のロシアを強く非難 | NHK | ウクライナ情勢
NATOのなかでもトルコは比較的ロシア寄り(というか、主導権を握って自国の発言力を高めようという立場)なのですが、完全に顔をつぶすかっこうです。ロシアの孤立は尋常じゃないです。
が、その後とりあえず穀物輸送船は出航しました。
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とか言ってるうちに、中台情勢もかなり危うい感じです。
4日前 米中電話会談(仲良くしていける感じかなー)
2日前 米下院議長が台湾を電撃訪問
今日 中国が台湾を取り囲んで軍事演習
基本の構図としては
中 ←仲悪い→ 米
↑
仲悪い
↓
台湾
です。特に中台関係については
中国「台湾は中国の一部」
台湾「中国の一部ではない、独立国」
と、主張が真っ向から対立しており、特にここ10年ほどの香港での統制強化を見るにつけ、中国がいつ何時台湾に軍事侵攻するか分からないという状況です。実際に過去に何度か、そういう局面が繰り返されてきました。
というタイミングで、ウクライナ問題が発生しています。中国としてはロシアの様子をみてうまく行きそうなら俺らもやろうかと考えている(と言われています)。実際にG7などの会議では中国の振る舞いもかなり議題に上がっているようです。
さて、アメリカの立場ですが、公式には
「台湾は中国の一国二制度のもとにある」
という立場です。
つまり、「中国の一国二制度(中国共産党による支配の元、共産主義的支配の本土と、資本主義・民主主義が守られている地域:香港や台湾)を見守る」という立場です。これは中国を無理に刺激はしたくないが、一方で「台湾を強制的に中国共産党の支配下に置いて民主主義をなくすようなことはするなよ」という意味合いでもあります。
しかし実際には香港が強制的に中国本土の体制に飲み込まれて行ったように、台湾にも同様の強制をしてくるだろうというのが大方の見方です。
という微妙なタイミングの時に、バイデン大統領が「台湾有事の際にはどうしますか?」と聞かれ「アメリカは台湾を守る」という趣旨の発言をしました。(これは口を滑らせた説や、敢えて言った説あります)
これには中国は猛反発、慌てて「いやいや、中国の制度をどうこういうんじゃなくて云々」と米報道官が対応に追われるなど。
で、中国の海洋進出が各地で問題になる中、ウクライナ問題が起こります。ロシアの侵略が成功するなら中国も台湾に軍隊を送るかもしれん、と言われている中、
今回の米下院議長の台湾訪問。これはアメリカが台湾を「国」扱いしていると見れなくもない振る舞いです。中国は「台湾は中国の一部だ」といっている手前、「台湾を独立国と見なすような行動」は許せないわけです。
中国「なにアメリカさん、勝手に来てんの。台湾は国じゃねーから、勝手なことすんじゃねえ」と激怒。
アメリカ「いや、これは昔からやってたことだし中国の制度を云々するわけじゃないから」
中国「台湾取り囲んで軍事演習やるわ。俺らいつだってやったるからな」
で、今日の中国による台湾海域の軍事演習です。
(読売新聞)
上図の通り、95~96年(クリントン大統領時代の危機)でも同じようなことが起きているのですが、今回の中国は以前より遥かに強くなった軍隊をもって、しかも台湾を取り囲むように軍事演習(威嚇行動)を行ったわけです。
実際にミサイルを発射、日本のEEZにも着弾しています。
中国、弾道ミサイル11発発射 日本のEEZに5発落下―台湾囲み演習、米長官が非難:時事ドットコム (jiji.com)
さて、それに対する反応です。
米軍、空母ロナルド・レーガンなどをフィリピン海に展開…「不測の事態に備え」中国軍を監視 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)
日中外相会談見送り 軍事演習批判に中国反発:時事ドットコム (jiji.com)
こんな感じです。
いま、中国の習近平国家主席、アメリカのバイデン大統領共におおきな選挙を控えていて、お互いに大きく揉めるわけにも行かないが引くわけにもいかない(弱腰と思われたら困る)状態です。