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そして文系はどう生きるか。

社会的に影響が大きいことが起こった時に、どんな風に私たちは対処していくのか。大学で学ぶという観点から考えてみたいと思います。

 

 

 

ネットスラングで「無敵の人」という言葉があるのをご存知でしょうか。

 

 

無職で孤立して、失うものがない人のことを指します。

 

 

無差別殺傷事件や今回の安倍元首相狙撃事件のようなことが起こるとその人物の背後が判明するにつれ「また『無敵の人』か。失うものがないと何でもできちゃうよな」と言われたりする、そんな文脈です。

 

 

同じ『無敵の人』であっても、無差別に殺傷して「人を殺して死刑になろうと思った」のような場合は「拡大自殺」などと呼ばれ、どうせ死ぬならこんな自分にした社会に一泡吹かせてやろうとか、そんなのが動機だったりするそうです。・・・と考えると安倍元首相事件の場合はちょっと違う、捨て身のテロのようですが。

 

 

 

(テロという言葉は多くの人が宗教や思想を持った人が起こす爆破事件というイメージを持っているようですが、語源がterror=恐怖ということから分かるように、暴力などによって人々に恐怖を与え、政治などに対して影響を与えようとする行為全般を指します。安倍元首相の銃撃は、それによって政治など民主的な活動におおきな影響を与えることが懸念され、明確に「テロ行為」と言えると思われます)

 

 

 

と、まぁそういったことは大学で言うと「(犯罪)心理学」「精神医学」「社会学」あたりで研究することが出来ます。

 

 

また別の角度で見てみると、なぜ「無敵の人なら仕方がない」と思えるのかもまた興味深いです。

 

 

人は理解不能なことが起こったときに「原因・背景・動機・影響は何か」を知りたくなります。自分の感覚では考えられないようなことが起こったときに、「あ、『無敵の人』か、それならあり得る」「ほー、拡大自殺というのか、そういう人もいるだろうな」と納得しようとします。

 

 

得体の知れないものに対して(自分の理解できる範囲内の言葉で)意味づけすることを「カテゴライズする」といったりします。「得体の知れない行動」→「無敵の人による拡大自殺(とか、捨て身のテロ)」と捉えることで、「なるほど」と思えるわけです。

 

 

 

ここだけ見ると、「なるほどそうだよね、人間ってそう言うところあるよね」と思うのですが、そもそもなぜ「なるほど」と思いたいのか。

 

 

この根源は「安心を得たい」という本能から来ると言われています。となると、「同じ考え方(イデオロギー)を持った人同士集まって、グループを作ってより強固な集団を作りたい」と思うのも本能と言えます。問題は、その先に「相容れない集団同士が衝突する」というようなことが度々起こり、差別や偏見、「分断」であったり、戦争へと発展するようなケースもあると言うことです。(露于間の戦争をイデオロギーの衝突と捉えるのは無理がありますが)

 

 

 

こうしたことに興味があれば、哲学や倫理学、社会学、政治学、国際政治、場合によっては宗教学あたりが学問になってくると思います。

 

 

 

ここまで書いておいてなんですが、精神医学などの医者はともかく、主に文系の学問が中心ですよね。文系の学問って「おぉ社会に出て役に立たないことばかりだな」って思われると思いますが、そのとおりです笑

 

 

もちろん専門家となって研究していく、それで食っていく道はどの分野にもありますが、狭き門です。ぱっと思いつくのは大学教授とかでしょうが、それ以外にも

 

RIETI – 独立行政法人経済産業研究所

みたいな国の機関や(研究員に成田悠輔氏※がいたりしてほぉ?ってなる)

 

※youtubeなどで検索すると大量に出てきます。「きれいなひろゆき」と言われていて、確かに笑。

 

 

日本総研 (jri.co.jp)

のような民間のシンクタンク(研究所)などが挙げられます。(ちなみに日本総研は三井住友系シンクタンクです)

 

 

・・・というのはごく一部の専門家ですが、こうして生きていくという手もあると言うことで。

 

 

それ以外の大半の文系人は、普通に色んな企業に就職したり公務員になって、大学時代の知識が生きることはあまりありませんし、企業側も大してそんなものに期待していません。大学名=有名企業への選抜資格くらいに思って、4年間楽しく勉強した方が良さそうです。文系に関して言えば学部学科よる就職の有利不利はあまりありません。僕、哲学科ですが都銀に就職しました。そんなもんです。就活では「哲学?役に立つの?」「いえ、全く。別になくても全く困りません」くらいの受け答えをした記憶があります。

 

 

そんなことより今求められているのは、英語が話せるとかそんなところでしょうね。大学に入ったらぜひ1年留学して英語を話せるようになってください。何も英文学科や東京外大に行く必要はありません。誰だって1年住んだら話せるようになりますから、それでOKです。あとは会計とか簿記の知識かな。これがあるとないとでは、企業人としての生き方が違ってくると思います。

 

 

 

ちなみに、「学歴なんかなくても仕事が出来る人はたくさんいる」というのは確かですが、一方で学歴がある人の優秀っぷりは半端ないです。論理、仕事の運び、コミュニケーション、どれをとってもほとんどの場合学歴に比例すると思います。「優秀な社会人」になりたかったらまずはきちんといい大学を出ておくというのはとてもわかり易い、そして最もお薦めしやすいルートなのは間違いありません。学歴社会には理由があるのです。

 

 

 

ただし、仕事が出来ること、一流企業に勤めることと幸せは比例しないということは添えておきます。ランダムか、あるいは負の相関関係か。人それぞれですね。でも知識が人生を豊かにするのは間違いないでしょう。新しい発見や知ることの喜びを知っている人というのはやはり何歳になっても輝いています。

 

 

 

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