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ジェンダー(的な)問題とどう向き合うか

価値観が大きくそして急速に異なっている(変化している)分野がたくさんあります。その一つがジェンダーです。

 

 

そもそも「ジェンダー」とは「社会的性差」という意味で、「社会における」男らしさや女らしさみたいなものを、有形無形に強制される状況を指しています。ジェンダーというとすぐ女子のスラックス制服がどうとか、性同一性障害だとかいろいろなことをごちゃ混ぜにしがちなので、まずはそのあたりの言葉の整理が必要です。これは大人がきちんと調べて勉強すべきです。

 

 

個人的に、読んで非常にわかり易く勉強になった本を紹介します。

 

 

LGBTを読み解く-クィアスタディーズ入門

うっかりそのままポチるとKindleなので注意笑

 

 

以下、私見ですのであくまでも参考までに。

 

 

例えば性同一性障害(障害というのがいいのかどうかは別として)という言葉が広く知られていますが、古い世代の我々からすれば「男なのに女の格好をして歩くなんて恥ずかしい」なんて思ったりして、なかなか理解しがたい話です。特に成長期の子どもにそういう兆候が見られると、「そういう時期もあるよね」とか、「最近は学校でいらんことを教えるから、『自分がそうかもしれない』と思う子が出てくる」と、自分なりに理解できる理屈で何とか納得しようと考えがちなのですが、まずはその姿勢そのものをいったん置いとく必要がありそうです。

 

 

 

そもそも前提として「性自認(自分は男性なのか女性なのか、あるいは両方なのかどちらでもないのか、など)」という考え方があります。よくよく考えたら、自分が自分を男性だと思おうが女性だと思おうがそれ自体は個人の自由(というか個人の内面の問題)のはずです。ところが、性に関することは長く秘匿されてきたテーマであるし、社会の仕組み自体が例えば戸籍(婚姻)制度や男性用トイレ・女性用トイレのように「二者択一」を前提とした仕組みになっていることから、非常にやっかいな問題として捉えられてしまいます。

 

 

これは個人に問題があるのでしょうか。

 

 

 

実はこれと全く同じ事がここ100年の間にも起こっています。障がい者の社会的地位です。(他にも同和とかハンセン病とかいろいろありますよ)

 

 

 

古くは障がいを持って生まれてくることは恥ずかしいとか、社会で活躍出来ないとか、または研究が進んでいないこともあって障害として認知されずに生きづらい社会を生きている方がたくさんいました。

 

 

 

今ももちろん十分改善したわけではありませんが、少なくとも100年前と現代社会では、障がい者への向き合い方は大きく変わったはずです。そしてまだまだ変えていこうとしています。それはなぜか。

 

 

 

障がいは決して人ごとでもないし、障がいがあるからと言って人間らしく生きる権利が剥奪されていいわけがないというごく当たり前の考え方が浸透したからです。いまではパラリンピックの放送時間も増え、障がいのあるなしにかかわらず応援することも当たり前になりました。

 

 

 

 

さて、そう考えると性自認に関することは、障がいのことと同じように歴史の変革期にきていると言えるのではないでしょうか。よくよく考えて見れば、性自認は極めて個人的なことであって本来それによって社会的な差が生まれることの方がおかしいはずです。男性と女性の、健常者と障がい者の、正規雇用と非正規雇用の賃金格差解消を目指す世の中で、「男は男らしく」なんて言ってたら時代錯誤も甚だしい、というわけです。

 

 

「いやいや、男性と女性と区別した方がいろいろわかり易いでしょ、名簿とかほら」と言う声も聞こえてきそうですが、それこそが「これまでの社会がそうだっただけ」を示しています。男性と女性を区別しなくても使いやすい名簿を考える時に来ているのです。

 

 

 

 

「話には聞くけど自分の近くにいない」とか、ゲイだとカミングアウトしている人に「ゲイは認めるけど俺はやめてくれよ」とか言っちゃう系の人、気をつけてくださいね。これらはどちらも大きな差別・偏見・独断を含んだ非常に失礼かつ攻撃的な言葉です。

 

 

「近くにいない」→言えない・言わないだけかもしれません。

「俺はやめてくれよ」→女性全員にいちいちそんなこと言います?なぜゲイには言うの?

 

 

 

現在の子どもたちの環境は、恐らくこういったことが境界線もよく分からずごちゃ混ぜにされて情報として流入しています。大筋としては「人を○○によって差別しない」などとくくってしまえば正解になるのですが、実は結構複雑な内容だったりしますので、そうした話に出くわしたときはまずはいろいろ調べて勉強してみる必要があると思います。

 

 

 

女子の制服をスカートに限らずスラックスも認めるという全国的な潮流も、時々ジェンダーの問題とごちゃまぜにされて発信されていることがあります。「冬寒いからタイツをはきたい」という意見がいつの間にやら「これってジェンダーだよね」みたいな、間のステップを飛び越えてしまっていたりする状況です。結果、「ジェンダーに配慮して(←?)、男子のスカート、女子のスラックスも認める。ただし上着は男子は左前で女子は右前」というトンチンカンな校則が出来たり、「トイレは男子用・女子用・障がい者用。性同一性障害の人は障がい者用を使ってください」とかだったりするわけです(これはカミングアウトの強制と同じです)。

 

 

 

まだまだ過渡期にありますのでトイレや更衣室など解決しづらい難しい問題も確かにありますが、まずは大人がきちんと勉強して、次世代を生きる子と共に考えていく必要があるのではないでしょうか。

 

 

 

 

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