一覧に戻る

5分で分かるウクライナ情勢(3)

その1

その2

 

 

ちょっと時間が開いたので5分では済まないかも。

 

 

ロシア、制空権奪取に難航。ウクライナ善戦中。

 

 

プーチン、核の使用をほのめかす。

 

 

NATO側はウクライナがNATO加盟国ではないことから直接支援出来ないものの、「明日は我が身」なので何とか助けたい。

 

 

現在は主に金融・経済・流通の面でロシアを締め上げ中。プーチンの誤算は主に以下。

 

・短期間でウクライナを攻略出来ると思っていた。

・ヨーロッパがこれほどまでに反ロシアで結束すると思っていなかった。

・ロシアから資源を輸入している国々まで反ロシア体制を組むと思っていなかった。

・金融制裁が思った以上にキツい。

・ロシア軍の士気が思ったほど高く無い。

・ロシア国内で反戦運動が起こると思っていなかった。(情報統制強化で乗り切れると思っていた)

・中国が思ったほど協力してくれない。(中国自身は反米ではあるが、親ロシアはさすがにマズいと思っている)

 

ロシア、原発への爆撃で電力供給など社会インフラへも攻撃。

 

ロシア、非友好国に以下の国々を指定。非友好国への債務返済にルーブルでの支払いを認める(説明は下記)

アメリカ、カナダ、※EU全加盟国、イギリス、ウクライナ、モンテネグロ、スイス、アルバニア、アンドラ、アイスランド、リヒテンシュタイン、モナコ、ノルウェー、サンマリノ、北マケドニア、日本、韓国、オーストラリア、ミクロネシア、ニュージーランド、シンガポール、台湾※

※アイルランド、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、キプロス、ギリシャ、クロアチア、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ(EU加盟時は西ドイツ)、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、ルクセンブルク

※台湾を中国と切り離して指定したあたりに、ロシアと中国の微妙な関係性が見え隠れしています。中国は以前から「台湾は中国の一部だ」と言っている(台湾は嫌がっている)のに、わざわざ中国と台湾を切り離して「台湾」と名指ししたことに中国としてはイラッときているはずです。一方、今回ロシアがウクライナ侵攻の口実にした「ウクライナ人に殺されるロシア人を助ける」というロジックが、同じように中国と台湾にも当てはまる余地を残したとも考えられます。

 

 

ウクライナ、ロシアと「人道回廊(国外へ脱出する人のためのルートについては一時停戦して、民間人は避難させるという約束)」協議するも、うまく進まず。(ロシア軍による砲撃や地雷があって歩けない)

 

 

ロシア、民間施設や住宅街まで爆撃。チェルノブイリ(ウクライナにある)を占拠、冷却中の事故後核燃料の電源供給ストップ。(事故を起こした原発の核燃料を冷やすのに電源供給は不可欠。事故後かなり時間が経過していてすぐに大爆発を起こすなどの危険性はないとされるが不明)

 

 

ウクライナ、手持ち系武器で応戦中。戦闘機をポーランドに要請するも、NATO加盟国ではないことから難色。(出しても良いが、アメリカに委ねます、と。)

 

 

ウクライナ、何とか女性・子どもを国外へ脱出させる努力中。男性は徴兵の可能性のため国内待機。

 

 

アメリカ、対ロシア制裁に協力しないなら中国にも制裁を科すと警告。

 

 

今のところこんな感じです。

 

 

 

 

「非友好国への債務返済にルーブルでの支払いを認める」とは

 

こんな状態になって、ロシアの企業に対して物を売ってルーブルをもらって喜ぶ人はいません。そもそも、国際間の取引には安定しているドルを要求してきます。特にこのような状況ではなおさらです。

 

しかし、完全に信用力を失ったルーブルは価値が急速に下落しています(ドル高ルーブル安)。というか、ルーブルを使ってドルを手に入れることはほぼ出来ない状態になってきました。つまり、ロシアの国自体もロシア国内の企業も、債務(借金や仕入代金)を準備出来ない状態に陥っています。実際に払えなくなることを「デフォルト(債務不履行)」と呼びます。経済的な死を意味します。

 

 

しかしロシア(の国と企業)には約束した外国への支払がどんどんやってきます。企業や業種によりますが、翌月払いとか3ヶ月後払いとか半年払いとか、とにかく買った代金は払わないといけません。

 

 

・例えば、元々「来月1ドル払うね」という約束をしていたとします。

・1ドルの支払いのため、手持ちのルーブルをドルに換えなければなりません。

・ところが、ルーブルが急激にインフレを起こし、最初約束したときは1ドル=100ルーブルくらいだったのが、今や1ドル=140ルーブルくらいになってしまいました。高けえ!

・それどころか、こんな状況なのでそもそもドルをどこで手に入れていいか分かりません。

・支払いが近づいている・・・どうしよう・・・

 

さて困った、というところで親分(プーチン)が

 

 

「おぉ、俺が認めるから、非友好国にはルーブルで払っちまえ。相手が受け取らない?知るか。ルーブルで払ったらロシア的にはOKだ。どうせ非友好国なんだ、気にすんな」

 

 

と言い出した。これが「非友好国指定」の目的です。

 

 

「・・・と、親分が言ってるんで、100ルーブル払いますね。1ドル払え?無理無理、ドル自体が用意できないよ。とにかく払ったんで、ひとつよろしく。」

 

 

というわけです。

 

 

これにはロシア企業を助ける意味ももちろんあるのですが、こうなるとルーブルを無理矢理掴まされる側の国々にも「ドルじゃなくてルーブルで払ってきた!ルーブルを紙くずにするな!」と言い出す人もでてくるでしょう。この思惑も働き、ルーブル安にやや歯止めがかかってきている状態です。日本も非友好国指定されています(要するに敵とみなされている)から、ロシアと取引のある企業は代金がルーブルで送られてくるんじゃないかと戦々恐々になってしまっています。とはいえ、そもそもSWIFTから閉め出されているのでそもそもルーブルが送られてくる可能性自体が低いですが。

 

 

 

まぁ、そうなると二度とロシアと取引するかって思いますよね、普通。しかしロシアは、もはや後先言ってられないんで、1つカードを切ってきた状態です。いまやヨーロッパ全土、中国(いずれは多分インドも)巻き込んだ世界大戦の様相を呈してきています。核と資源を持ち出すロシアと、経済と安全保障の団結で戦うNATO。

 

 

ちなみに、日本が返せ返せと言っている北方領土を「特区」指定して、よりロシアの勢力を拡大する気マンマンです。もはや日本にとっても対岸の火事ではありません。

 

 

ロシアを非難する国連決議採択

反対する5カ国はともかく、棄権した35カ国のうちかなりの数が「親ロシア」というより「反米」「反NATO」であることは間違いないでしょう。

 

 

 

 

友だち追加