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5分でわかるウクライナ情勢(4)

戦況はしばらく膠着状態でしたが、最近の情勢です。

 

 

その1

その2

その3

 

 

 

ロシア軍、キーフ(キエフ)収奪をあきらめる

 

露軍、撤退ついでに周りの村々で虐殺・非道の限りを尽くす。ウクライナおよび各国はこれをジェノサイド(虐殺)であり戦争犯罪※と非難。ロシア軍はフェイクだと主張。

 

※戦争犯罪となると、一般に「戦時国際法」と呼ばれるいくつかの条約に抵触することになり、「喧嘩だからそれぞれの言い分を聞かないとね」という枠組みから離れて「明らかに間違っている」として国連等により調査、裁判が開かれることになります。あとで書きますが、これは現在の国連にとってかろうじて出来る非常に大きなことです。

 

 

ロシア軍、ウクライナ東方に軍を移動する傾向、東部(黒海方面)地域へ軍備集中の動き。

 

 

各国の軍事支援が一段と加速、戦車や戦闘機、重火器をウクライナに供給。戦闘規模の拡大化、長期化の懸念。

 

 

戦況はこんな感じです。

 

さて、一方で新たな問題が問題が出ています。

 

 

 

国連のなかにはたくさんの組織があります(外務省サイト・PDFが開きます)が、特に重要な安全保障理事会(国連サイト日本語版が開きます)(各国間の利害調整や戦争を起こさないための話し合いの場)には5つの常任理事国(任期なし)と10カ国の非常任理事国(任期2年)が存在します。

 

 

常任理事国は5大国ともよばれ、米英露仏中からなります。これらが意志決定の最重要国であり、それぞれが拒否権を持ちます。1国でも拒否したらその議案は通らない仕組みです。

 

 

国連はそもそも第二次世界大戦後に「同じ戦禍をもたらさないため」に作られた国際間の組織です。この5大国は第二次大戦戦勝国の集まりですが、イデオロギー(つまり、国そのもののあり方)は同じではありません。英米仏という自由主義・民主主義の国に対し、露中という社会主義の国ですから、一見双方に配慮されバランスが取られているように見えます。確かにその面もありますが、一方で今回の様な事態も懸念されていました。

 

 

すなわち、「5大国のうちどこか1国が自国の権益のために戦争を仕掛けたらどうなるか」です。まさにそれが今起こっている状態です。常任理事国は国連の中でも最重要国ですから、ここがNOと言えば何も動きません。ロシアのウクライナ侵攻に対し国連が何も出来ないのは、この常任理事国のロシアがまさに戦禍を引き起こしているからです。

 

 

ウクライナのゼレンスキー大統領は「今こそ国連改革を!」と訴えていますが、「とはいえ、拒否権を手放すのもなぁ」「ロシアとまでは行かないけど、非難されるようなネタもあるしな」と、ロシアはもちろんロシア以外の米英中も乗り気ではありません。自国の既得権益を守りたいし、これまでさまざまな紛争に介入し自らも拒否権を行使してきた歴史があるからです。※

 

※フランスはやや立場が異なります。フランスは早くから積極的に安保理改革を訴えています(フランス大使館のサイト)。ちなみに日本はややフランス寄りの立場です。もし常任理事国を拡大することになれば日本は最有力候補の1つです。それなりに人やお金を出している立場としてはもっと国際社会での発言権を得たいと思っています。まぁそれこそ露中に拒否されるでしょうが。

 

 

国連には「人権理事会」という組織もあります。ここの理事会からロシアを追放しようという議案が出され可決されました(2022/04/07産経biz)が、『中国やロシア、北朝鮮など24カ国が反対し、インドやブラジル、アラブ首長国連邦(UAE)など58カ国が棄権した』(産経bizより引用)のが現実です。どの国も、それぞれ自国の立場や権益を考え、また、ウクライナ侵攻がどう終わるのか、事態の推移を見守って立場を表明するしかないのが現実です。

 

 

 

そんなわけで、現段階で国連はロシアを止めることは出来ません。なんとか精一杯やれることは、可能な限り速やかに「戦争犯罪」を認定、有無を言わさずロシア(または虐殺に加担した組織、個人)の責任を問うことです。

 

 

 

 

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