5分で分かるウクライナ情勢(6)
2022年07月01日
戦況が長引いて、持久戦の様相を呈しつつあります。ロシアvsウクライナ(NATOのギリギリの支援)
現在のポイントは3つ。
1.戦線が東部から少しずつ西部へ(右から左へ)
といっても、ウクライナとしては何が何でも東部から動かない・・・というわけではなく、一旦中央部寄りに退却して弾薬等の補給に注力して再攻勢に備えているようです。ウクライナ側としてはNATOにもっと軍事支援をしてくれと言っていますが、NATOとしては「あまりやり過ぎてプーチンが核に手をつけるのが怖い」というのが実情です。
一方のロシアは、思ったより兵士が足りず(初期の投入部隊の3分の1をすでに失っているといわれている)、国家総動員体制を取るかもしれないという状況に追い込まれつつあります。ただしプーチンとしても、ここで核兵器を使ったら取り返しがつかない事は分かっているようで、どうやらすぐに核に手をつける気はなさそうだとの観測が有力です。そこで、エネルギー資源のヨーロッパ輸出を絞るなどしてNATO内側の分断を図っていますが、今般のG7、およびNATO会議ではプーチンの目論見とは異なり、いまだ一致団結で(一応は)固まっています。そこで、親ロシア(ベラルーシなど)の国々のみならず「反欧米」諸国(インド、アフリカ諸国)の取り込みを図っています。
2.ロシアの飛び地(カリーニングラード)への鉄道網の遮断、スバルキ・ギャップの緊張
↓図の通り、ロシアにはバルト海に面した飛び地があります。ロシア本土→ベラルーシ→リトアニア→カリーニングラードと鉄道がつながっていたのですが、ついにリトアニアがこの鉄道による輸送をストップ、カリーニングラードは本土からの鉄道輸送に生活を頼っていたため生活が成り立たなくなりつつあります。
一方、NATOのアキレス腱(スバルキ・ギャップ)の緊張が高まっています。上図のスバルキ・ギャップ、NATOのアキレス腱とよばれ、部分的にNATOの陸上の接続が弱くなっています。この100キロに満たない部分をもしベラルーシやロシアが武力制圧するようになると、NATO諸国が陸路分断され、北部バルト3国が孤立しかねない状況になっています。
3.フィンランドとスウェーデンのNATO加盟手続き開始
これまでトルコが嫌がっていた北欧諸国のNATO加盟手続きが開始されることになりました。特にスウェーデンのNATO加盟が正式に承認されることになるとバルト海が大部分NATO諸国に囲まれることになり、ロシアとしては避けたいところです。これまでロシアの隣国ということで気を使って中立を保っていたフィンランドもNATO加盟に前向きの姿勢を示しています。
これによりロシアのヨーロッパ方面への海の出口がかなり狭まることとなります。
国際社会が関心を持たなくなるのが一番危険です。