5分で分かるウクライナ情勢(10)
2022年10月01日
予定通り、プーチンはウクライナ東部4州を一方的に併合宣言しました。あくまでも彼の中での論理は「元々ロシア領土だった地域を奪還した」という発想ですが。
これにより、
・今後この地域への攻撃はロシア本土への攻撃とみなす
・ロシア本土への攻撃に対しては核や化学兵器などの使用も辞さない(以前から言っている)
・ロシア領土の人民は、強制的な徴兵が可能
となります。(プーチンの脳内では)
↑2つめが目立ちますが、3つめがエグいですね。ウクライナの人民をロシア側兵士として狩り出してウクライナ人を殺すことに使うという意味です。
元々のロシア国内では徴兵に対する反対運動が起こって支持率が下がっている状況を考えると、「ウクライナ人を利用することでロシア人を使わなくて済む」うえに、「ウクライナ人同士が殺し合うってどうかしてるだろ?普通闘わないよな。でもヤツラは闘ったのさ。つまり、ウクライナ人も独立したかったのさ」と言えちゃったりするわけです。
一方で、少し希望も見えてきました。
停戦交渉の用意あるとプーチン氏(共同通信) – Yahoo!ニュース
タイミングからして、恐らくウクライナ東部4州をロシア領とすることを停戦の条件にしてくるでしょう。
ロシアは巨大なガス田を持っており、西側諸国もロシアのガスに依存している部分が大きいワケですから、ロシアからしたら「ここで俺の言うことを聞けばまたガスを売ってやるぜ。しかも平和になるぜ?そもそもウクライナってロシアの領土だしな。」って話です。
しかし、西側諸国は恐らくこれには応じないでしょう。これを認めたらどうせ次もやるに決まってますからね。そもそも今回のウクライナ侵攻は2度目です。(1度目はクリミア半島の併合)
しかも、ロシア国内は徴兵制を巡ってかなり混乱しています。そもそもロシアによるウクライナ併合はもっと短期であっさり終わるはずでした。が、初動で空軍がボロボロにされるわ、陸軍は全然ダメだわ、海軍は旗艦を撃沈されるわ散々なわけです。やむなく徴兵してみたら、全然国民の同意が得られない。暴動が起こるわ国外脱出を図るわ西側諸国はちっとも言うことを聞かないばかりかウクライナ支援を無限にし続ける。
もはやロシアには核とガスしか残っていません。
上記の「停戦の用意がある」発言は、追い詰められたプーチンがなんとか権力の座にしがみつく必死の手と考えて良いと思います。
プーチンが完全にあきらめて撤退するわけにもいかない(戦費・経済封鎖・多数の死者を出しながら何も出来ずに白旗を揚げるわけにはいかない)以上、恐らくとっくに動いているはずですがロシア国内のクーデター、プーチン暗殺が最良のシナリオです。
さて、一方で
ウクライナ NATO加盟申請を表明 – Yahoo!ニュース
というニュースも入ってきました。
バルト海周辺の北欧諸国がNATO加盟申請に踏み切ったように、ウクライナ自身もNATO申請に踏み切りました。これはもう「絶対にロシアとは和平しない」意志の現れでしょう。はっきりと西側陣営につくと表明したわけです。
ちなみにNATOは、はっきりと「集団的自衛権」をうたっており、「NATO加盟諸国への攻撃は自分たちへの攻撃とみなし、NATO加盟国の力を結集して反撃する」と明記しています。最終的にウクライナの加盟が認められるには手続き上数年はかかるわけですが、逆に言えば「今申請中だぞ、本当に加盟が認められたら地獄を見るぞ」というウクライナ側の脅しです。
ロシアの一方的な併合に対してさらなるカードを切った格好です。もはやギリギリのラインまで来つつあります。