5分で分かるウクライナ情勢(16)
2023年05月22日
現在、ウクライナ東部での戦闘が激化しています。
東部の支配を維持したいロシアと、大規模な反転攻勢に向け準備していると言われるウクライナが衝突しています。
ウクライナは、クリミア半島(地図上の赤で囲まれたところの一番下)を含め全ての地域の奪還をゴールと考えています。
一方ロシアは、恐らく戦闘開始当初(もう1年3ヶ月前になりますね)の目標はウクライナ全土掌握でしたが、もはやそれは(核兵器でも使わない限り)不可能でしょう。赤で囲まれた領土を是が非でも死守して、さらに進軍したいところです。
これまでウクライナはEUやアメリカを筆頭に、全世界に向けて軍事その他多くの面での協力を求めてきました。戦車や弾薬などはすでに最新鋭のものが供給されてきています。
そして、軍事協力の最大目標である戦闘機がついに供給されることになりました。
このF-16戦闘機※、アメリカ製でEUなど各国に納入されているのですが、「他の国に転売や譲渡するにはアメリカの承認が必要」という条件付きで収められていた物です。これまでアメリカはウクライナへの供給を許可してきませんでした。
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が、今般の広島サミットにおいてゼレンスキー氏を日本に迎えるタイミングと同時にアメリカから「他国がウクライナに戦闘機を供給したいというならこれを許可する。なお、操縦訓練なども助ける」という声明をバイデン大統領が出しました。
アメリカ国内では「他国の戦争に関わっている場合か💢」という世論も根強くありますので、自ら進んで米軍を出すわけにはいきません。すでに他国へ売った戦闘機を、他国がウクライナに供与することを認め、さらに飛行訓練をするところが今アメリカのバイデン政権が出来る最大の協力、と言ったところです。
しかし、F-16戦闘機が供給されたと言って劇的に戦況が変化するかというとそうでもなさそうです。そもそもウクライナはロシアの領土までミサイルを撃ち込むなどの積極的な攻撃を行っていません。防御および被占領地域の奪還に集中しています。戦闘機も恐らく同様に、例えばモスクワ上空まで飛んでいって爆撃すると言ったことはしないでしょう。自国防衛・領土奪還のために使われるはずです。
加えてロシアは大量に戦闘機を保有しています。一気にせめてこられたらとても太刀打ち出来ませんが、とはいえロシアも兵士がグダグダなので一勝負構えるには時期が悪い。
ウクライナとしては早く国際協力の下に軍備を整えて、一気に東部奪還に向けて動きたい、まさのその準備の最終段階に入ってきていると言えるでしょう。
ところでロシアは
ロシアがバフムートで白リン弾使用か ウクライナが映像公開 – BBCニュース
と言う報道が出ています。燃えやすく消えにくい、粘度の高い炎を街中にばらまいています。
焼夷弾(しょういだん・燃やすための爆弾)として使うことで街中が燃やし尽くされる上に、強い燃焼効果によって窒息死や一酸化炭素中毒死ももたらします。