5分で分かるウクライナ情勢(25)
2025年11月23日
トランプ大統領は言った。「俺が行けばすぐ終わる」と。「なぜならプーチンはダチだから」
1年経ちました。
しかし実際には、トランプの言うことなんぞ意にも介さず、攻撃の手を緩めない挙げ句にアメリカの和平提案を蹴りまくったプーチン。
いい加減ブチ切れて、トランプ大統領は「ウクライナにパトリオットミサイル※を供与するかもしれん。」と言い出しました。ロシアへの揺さぶりです。
※湾岸戦争のときに有名になった「パトリオット(愛国者)ミサイル」ですが、これをウクライナから撃つとモスクワ直接攻撃も理論上可能とされています。首都へ直接打撃を与えることになればウクライナの劣勢も逆転可能ですから、ウクライナはものすごく欲しいわけです。対して、ロシアは「もしやられたら、あとは核を撃つくらいしかないぞ・・・それはマジで孤立するからやっべぇ」って感じです。ロシアは本当に核を撃ちかねないので、アメリカはできればパトリオットは出したくない。
この状態で何ヶ月か経過し、自体は相変わらずの膠着・・・ややウクライナ劣勢な感じです。
それぞれの思惑はこうです。
ウクライナ・・・武力で奪われる国土は全て回復したい。
ロシア・・・可能な限りウクライナの領土を奪いたい。
アメリカ・・・ぶっちゃけ他人事だが、大統領としての功績を挙げたい。(支持率につながる)
宇露間の意見があまりに隔たっているので、話が進まない。トランプの力をもってしても。
というわけで、トランプはあっちを揺さぶりこっちを揺さぶり、事態を前に進めようとしています。
現在はウクライナ劣勢でじんわり領土を取られつつ、国内でも政権中枢で汚職が明らかになるなど、ウクライナにとって「超タイミングが悪い」ときです。
トランプはこのタイミングを逃しませんでした。
11月27日期限で迫った譲歩案は以下の通りです。
(毎日新聞より)
めちゃくちゃウクライナに損な条件です。↑の画像の特に2番目、6番目あたり。NATOにも入れないわ、領土は取られるわ、散々です。特にNATOに入れないとなると、相変わらず後ろ盾がない状態が続きます。つまり、またロシアは攻めてくるに決まってる、となるわけです。
この和平案は「変更の可能性がある」としているので、トランプとしても喜んでロシアに手を貸したいわけではないでしょう。とにかく事態を動かさない限りは、ずるずると戦争が続きロシアが領土を拡大する。パトリオットをくれくれ言われ続ける(出したくないのに)。
ゼレンスキー大統領「非常に難しい選択に直面するかもしれない。尊厳を失うか、重要なパートナーを失うかという選択だ」
飲めばロシアの思い通り、蹴ればアメリカを袖にする。どっちに転んでも最悪です。
国連が機能しないのは承知の通り。NATO、EU諸国がうまく仲介に入れればいいのですが、ほぼ「最後通牒」のような内容なので、今回ばかりは事態が動くかもしれません。




